令和3年度以前知事記者会見

2019年7月9日(火)


知事発表:「世界クラスの資源・人材群」が86件に!、第43回ユネスコ世界遺産委員会への出席報告
知事発表:吉原林間学園の移転、開所、「TECH BEAT Shizuoka」の開催、ふじのくに茶の都ミュージアム「常設展図録」、「研究紀要・年報2018」の発刊
幹事社質問:参院選、次期知事選、リニア中央新幹線
幹事社質問:リニア中央新幹線
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幹事社質問:リニア中央新幹線
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知事発表:「世界クラスの資源・人材群」が86件に!、第43回ユネスコ世界遺産委員会への出席報告

(知事)

 どうも。今日の花は、紫色がアガパンサス、黄色がエルムレス。白、むくげ、これは県庁の職員の庭先に咲いてたお花を持ってきてくださったということでございます。それから山吹の実が。そして葉っぱがつわぶき、それからやつででございます。

 冒頭申し上げておくことがございます。先週、鹿児島県を中心に、九州各地で記録的な大雨となりまして、2名の方が土砂崩れによってお亡くなりになりました。大きな被害が生じております。この災害で亡くなられました方のご冥福を心からお祈り申し上げます。それとともに、被災された皆さまに対しまして、衷心よりお見舞いを申し上げます。

 近年、台風の大型化や、これまでの経験が通用しない豪雨が多発しておりまして、まだ梅雨期の最中にございますので、県民の皆さまには、改めて災害への備えをお願いいたします。

 どうか、日頃から、お住まいの地域の、河川災害、浸水被害、土砂災害等々、危険性を確認していただきまして、万一の際には、避難勧告等の情報を的確にご入手いただいて早期の避難を心掛けてくださるようにお願いいたします。

 その際には、市町の作成しているハザードマップに加えまして、県の開発いたしました総合防災アプリ「静岡県防災」もご活用いただけるかと存じます。皆さまのところにパンフレットが配られていると思いますけれども、静岡県防災のパンフレットを配布してございます。

 さて、発表項目は全体で五つでございます。

「世界クラスの資源・人材群」が86件に!

 まず最初は「世界クラスの資源・人材群」が86件になったということでございます。旭化成株式会社名誉フェローの吉野彰先生が、欧州特許庁による2019年欧州発明家賞、European Inventor Award 2019、このヨーロッパ以外の部門で発明家賞を受賞されました。先月20日に授賞式が行われて、報道もされておりますが、この欧州発明家賞というのは、発明家に贈られる、ヨーロッパで最も権威のある賞の一つでございます。受賞者の選考は、政治経済、科学、学術研究の国際的権威からなる中立の国際選考委員会によって行われております。

 この賞は五つの部門がございまして、今年は6名に贈られました。吉野博士は、旭化成富士支社に研究室を構えられていたことがございます。そういう意味で静岡県にご縁のある方でございまして、現在、世界中で利用されているリチウムイオン電池を発明されまして、改良を重ねてこられました。その功績が認められて、今回の受賞になったものであります。ちなみに皆さまのお手元にございます、世界クラスの資源・人材群69番目に、吉野先生の日本国際賞の受賞が掲載されております。このリストは年度ごとに国際的な世界的なクラスに認定された地域資源、あるいは人材、これを掲載するという方針でございますので、吉野博士におかれては2度目の掲載ということになります。

 本県の「世界クラスの資源・人材群」は、今回の活躍を加えまして、富士山の世界遺産登録から数えまして、合計86件になりました。

第43回ユネスコ世界遺産委員会への出席報告

 二つ目の発表項目であります。第43回ユネスコ世界遺産委員会に出席してまいりまして、その報告を申し上げます。

 7月3日から5日の3日間、ユネスコの世界遺産委員会へ出席するためにアゼルバイジャンの首都バクーを訪問いたしました。3日と4日は、遠山敦子先生、静岡県富士山世界遺産センター館長とともに、このユネスコの世界遺産委員会の会場におきまして、富士山の保全状況報告書についての審査状況の把握とユネスコ関係者と面会・意見交換を行いました。

 まず決議におきましては、富士山の管理・保全の責務を継続して果たしていることを承認されたほか、取り組みの順調な進展を歓迎するとされるなど、高い評価が得られました。

 ユネスコ関係者、まずユネスコ世界遺産センターアジア太平洋課長のDrフェン・ジンさん、それからまたイコモスの会長に就任されました河野俊行 九州大学法学研究院教授の会長さん、それからまた第32回世界遺産委員会議長を務められました、カナダのクリスティーナ・キャメロンさん、等々と意見交換をすることができまして、皆さまから高い評価をいただくとともに、来年12月1日までに提出を求められている報告書に関しましては、これ以上報告書を求めないという、手続き上のレポートを簡単にまとめて書いていただければいいという、そういう内容について確認することができました。その意味で、私は心配してたんですけれども、何度も何度も保全状況報告書を書きました。それがあまりにも素晴らしいからまた見たいと。もういいならそれでやめてくれればいいと思うんですけれども。繰り返されていたので心配していたのですけれども、そういうことで、今度で終わりということでございます。

 それから帰る日、5日でございますけれども、アゼルバイジャン文化大臣でこの世界遺産委員会の議長を見事にお務めになられまして、アゼルバイジャン語は言うまでもありませんけれども、英語、スペイン語、フランス語、何でもこなされて大変感心しましたけれども、大変立派な文化大臣とお目にかかることができました。お名前はアブルファス・ガラーエフ博士ですね、大臣でございますけれども、30分ばかり面会することができました。

 それでまた、アゼルバイジャンにございます世界遺産を見てほしいということもございまして、ゴブスタンという山というか丘に、人類の歴史とともに古いような岩絵がございまして、そこに動物の絵などが描かれています。これが今日まで見事に保存されております。それを見まして、それからまたバクーというのは古い歴史を持っておりますけれども、城塞(じょうさい)都市でございます。壁に囲まれているわけですが、インナーシティと言われる所が大変見事に保存されておりましてこれも世界遺産になっております。そこにはシルヴァンシャー宮殿というのがございます。また、乙女の塔メイデンタワーと言われているものがございまして、ぜひ見てほしいということでこうしたところ、暑い中ではございましたけれども、走り回って見ることができまして、関係者の方々と保存管理の方法等について、またこちらの富士山ほかについて、静岡のPRもすることができました。

 今回、全てがうまくいったわけでございますけれども、やはり遠山敦子、本県の富士山世界遺産センター館長さんが、元文科大臣だったこと、また元文化庁長官だったこと、そしてまたアゼルバイジャン隣のトルコ大使を3年余り務められたということがございまして、文化庁、外務省、国の方も動いていただき、またユネスコ大使の山田さんもわれわれの関心についてあらかじめ情報を得ていただいて、それなりにご協力をたまわったということで、今回、われわれは世界遺産センター長に遠山敦子先生にいただいていることを大変光栄といいますか、改めてありがたいと思った次第でございました。またアゼルバイジャンの日本大使、香取さんとおっしゃる方でございますけれども、なんと空港にまで迎えにきていただきまして、また忙しい時間われわれの時間に合わせる形で昼食会を催していただきまして、そこで大阪の知事さん、吉村さん、また山田ユネスコ大使、それから文化庁の次長さん、その他要人とゆっくりと意見交換をする、その機会もいただきました。大変、香取大使にもお世話になったということでございます。行きも帰りも夜行便だったので、実際はもうさすがにくたくただったわけですけれども、行った日、お昼に着きまして、その日の午後から会場入りをするということでございまして、最終日5日は朝から夜までいまして、夜の便で帰るということでございました。大変強行軍でございましたけれども、実りの多いアゼルバイジャン訪問になったということでございまして、関係者の皆さま方に対しましてあらためて感謝の意を表したいと存じます。また同時に富士山世界遺産センターに関わる、世界遺産富士山の保全状況についてこれまで大変立派な報告書を作っていただいた関係者の皆さま方、本当に皆さま方が感心されていたということもあらためてここでご報告を申し上げまして、ご一緒にアゼルバイジャンとこれからの交流も含めて静岡県の国際交流を文化遺産を中心にやっていきたいという思いを新たにいたしましたので、そういうご理解もいただければと存じます。




知事発表:吉原林間学園の移転、開所、「TECH BEAT Shizuoka」の開催、ふじのくに茶の都ミュージアム「常設展図録」、「研究紀要・年報2018」の発刊

(知事)

吉原林間学園の移転、開所

 それから3番目は吉原林間学園の移転また開所についてでありますが、吉原林間学園は、児童福祉法に規定する児童心理治療施設として、入所児童が、心理治療、生活指導、学校教育および医療の4分野からの援助を行う「総合環境療法」により、健全な社会生活に復帰することができるように、それを目的として、全国で2番目の施設として昭和37年、富士市大淵に開設したものであります。

 昭和57年、20年後に改築をいたしました、それからもう既に37年余りが経過いたしまして、老朽化いたしておりますことから、入所児童の生活環境を改善しようということの目的をもって、平成29年度から同じ市内で進めてきた移転建築工事がこのたび完了いたしました。7月12日に開所式を行い、吉林副知事が出席をいたします。

 この新たな施設におきましては、入所児童のプライバシーを尊重するために、居室を個室化いたしました。また生活単位を7名から10名の小規模ユニット化することによりまして、家庭的な雰囲気で養育環境の好環境化を図った次第でございます。

 また、教室とか居室棟の床あるいは体育館には地元富士の杉あるいは富士のヒノキなどの県産材を用いまして、温かみのある、気持ちの安らぐ生活空間とすることができました。

 入所児童だけでなく外来の方、これは予約がいりますけれども、外来の場合でも発達障害児の専門的な治療を行う児童精神科診療所を新たに設置いたしまして、児童精神科医療が不足する東部地域の医療体制を補完していくこととしております。

「TECH BEAT Shizuoka」の開催

 4番目の発表項目でございますが、「TECH BEAT Shizuoka」の開催についてでございます。静岡県の経済発展を支える上で重要な役割を担うのはAI、ICT人材であります。ところがこの人材が大変に不足してると。これに対応するために、静岡県では、昨年度、「ふじのくにICT人材確保・育成戦略」を策定いたしました。そして求められる人材の階層を「トップレベル人材」それから「各産業の中核的人材」そして「全てのビジネスパーソン」「次世代人材」この四つのカテゴリーに区分いたしまして、階層ごとに人材の確保、育成施策を展開しております。

 このうち、「トップレベル人材」につきましては、やはりその多くの方々は首都圏等で活躍されております。こうした人材をいかに県内に呼び込むかということでございますが、首都圏のICTベンチャーと県内企業との提携を促す商談会、これが「TECH BEAT Shizuoka」でございまして、これを7月24日と25日にグランシップで開催をいたします。

 本県は全国有数のものづくり県であります。多彩な産業が集積しております。「スマートガーデンカントリー“ふじのくに”」づくりを目指した実証フィールドを数多く用意してございますので、IT企業がさまざまな分野においてビジネスに参加するチャンスが広がっているというふうに思っております。

 目下のところ、既に50社を超えるベンチャー企業が参加する商談会がございまして、これを契機に、県内企業が抱える課題の解決、新ビジネスの展開につながるように、双方の橋渡しをいたします。

 また、ICTベンチャーによるブース出展、商談会のほか、大学発ベンチャーを多数輩出する東京大学松尾先生、松尾教授の基調講演、AI・ICT入門セミナーなども開催いたします。AIやICTの活用に悩んでおられる県内企業の皆さまにも積極的にぜひ参加いただければと存じます。

ふじのくに茶の都ミュージアム「常設展図録」、「研究紀要・年報2018」の発刊

 五つ目の発表項目でありますが、ふじのくに茶の都ミュージアムの「常設展図録」および「研究紀要・年報2018」が発刊されました。皆さまのお手元にいってるでしょうか。これであります。

 平成30年3月に茶の都ミュージアムは新装開館いたしましたが、目標入館者年間7万人でございましたけれども、それを大きく上回る方々にご来館いただいております。先月までの1年3カ月で、博物館入館者は15万人でございます。ミュージアムショップのみの利用者などを含めますと来場者数は何と28万人に上りました。さまざまなお茶の体験メニューなどが、入館者の人気になっております。

 こうした中、入館される方々から常設展示の内容を紹介したり解説したりする冊子がほしいという要望もございまして、そうした声に応えるために、また多くの方々にお茶や展示内容についてより深く理解してもらえるように、熊倉功夫館長先生の監修の下で今回図録を発行することにしたものでございます。

 研究紀要・年報は、学芸員と研究員の調査研究の成果として作成されたものであります。お茶の産業・文化・歴史・民俗に関する情報を発信するとともに、ミュージアムの1年間の活動実績がまとめられております。

 この二つの冊子の表紙デザインは、これですね。行かれた方は、ご案内のように茶の都ミュージアム、コンクリート壁だったのですけれども、上手に吹き寄せ柄で囲みまして、柔らかい雰囲気を出しているわけですけれども、それをかたどっているものであります。

 ミュージアムでは、引き続き、充実した展示に努めますとともに、小中学校による見学や体験学習も積極的に受け入れて、「茶の都しずおか」の魅力を発信いたします。

 この静岡県がふじのくに茶の都ミュージアムを運営するについては、熊倉先生が本当にミュージアムを愛されているんですね。もともと小堀遠州の仙洞御所の庭をこちらに移されてということでございまして、今年の世界お茶まつりのオープニングセレモニーもその庭でいたしました。そして博物館も新装になりまして、食堂もきれいになり、また貴賓室も設けて、皇嗣秋篠宮様も昨年の秋でしたか、お越しになるなど、大変格調が上がりまして、ですから中身も通常のものと違ってレベル高いです。ですからこれ1冊1000円、500円だそうですけれども、買うに値するかなと思いましたね。そういうことで大変喜んでおります。発表項目は以上であります。




幹事社質問:参院選、次期知事選、リニア中央新幹線

(幹事社)

 ありがとうございました。じゃあ、今の発表項目に関して質問がある方お願いいたします。それでは、幹事社質問の方に移らせていただきます。幹事社質問、大きく三つございます。一つ目、参院選が4日に公示されました。21日の投開票に向けて、どのような論戦に期待されますでしょうか。

 二つ目が、5日で知事がご就任から10年を迎えられ、3期目の折り返しとなっております。現時点で、また4期目に向けた出馬のご意志についてのお考えはいかがか、というのが二つ目。

 そして三つ目が、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に関連し、JR東海は80億円全額を負担して、静岡市の林道東俣線の改良工事を実施する内容の協定書を静岡市と結びました。これをどのように評価しますか。またあらためての確認ですけれども、工事の着工を認めるためにはどんなことが前提条件になるとお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。

(知事)

参院選

 はい、まず最初の参院選でございます。何と言っても国政でございますから、6年半に及ぶ安倍政権の評価というのが論戦のテーマにならねばならないと思います。安倍さんのライフワークは憲法改正だと思います。従って、この選挙の結果を踏まえて、こうした彼のライフワークに挑戦をされるに違いないというふうに思っております。一方で、それとは別個に、これまでのアベノミクス、つまり経済政策ですね。これに対してどう見るかってことがございますでしょう。それから、非常に派手な「地球儀を俯瞰する外交」と称して外交をされてますけれども、そういう外交の成果をどのように評価するかということがあると思いますね。それからまた、安倍政権いろいろと不祥事もございました。森友・加計問題あるいは今回の年金のワーキンググループに関わる対応等ございまして、こうした政治姿勢ですね、をどう見るかということも論戦というよりも論点になるとか、判断基準になるのではないかというふうに思います。一方、アベノミクスの成果もあります。成果といいますかアベノミクスの帰結ということもありまして、この貧富の格差も感じられるようになり、子どもの貧困と、これは教育とか食事とかに関わる深刻な問題ですけれども、結び付いております。やはり、そういうところで社会的には弱者というのがいますね。ですから、そういうこの弱者、これまでは高齢者ということであります、それから子どもです。こうした高齢者や子どもに対する施策がきちっとなされてるのかどうか、ということが問われるんではないでしょうか。

 そしてまた今外国人、これを共生しようという流れで大きく扉を開いてるわけですね。ですから静岡県にも、毎年5千人近い方たちが静岡県にお住まいになり、働かれているということでございます。こうした外国の方々が負う言葉のハンディがございます。あるいは習慣も違うということで、社会的弱者、広い意味での社会的弱者と言っていいと思いますけれども、障害者、子ども、高齢者、外国人、こうしたものに対して、いわゆる労働者とかという形で外国人を見るんじゃなくて、われわれは生活者として見てますけれど、そうした施策について、それぞれの候補者が、どういう考えをお持ちであるかということも問われなくてはいけないと思います。

 それから本県独自のものとしては、やはり日本の言ってみれば交通事情というか、経済地図を変える可能性の大きいスーパーメガリージョン構想、これはリニア新幹線と関わっておりますけれども、このリニア新幹線構想は、静岡県の選出の国政議員は関心を持たざるを得ないと思います。ですから、このリニアと南アルプスについてどう考えられているのかということは、当然態度を表明されねばならないのではないかというふうに思います。今、この南アルプスの水に依拠されている、少なくとも水道だけでも60万人以上ですね。それから水力発電ございまして、これも60万キロワット以上ということですから、原発の、昔のですね、今廃炉になっております第1号機は確か五十数万キロですから、それ以上の水力発電をされてるわけですね。それから地下水もございます。それに多くの企業が、事業所が依存しています。目立ったところでは、恐らくこれからの季節、ビールがうまいと思いますけれども、サッポロの静岡麦酒と呼んでいますが、静岡ビールとかね、あれ全部地下水でしょう。焼津の磯自慢もそうですね。それから志太泉もそうですね、藤枝の。喜久酔もそうでしょう。飲めなくなくなるんじゃないかって言ってる人もいるぐらいですよね。それからまた牧之原の台地は、これは空港それ自体が100メートル以上の標高の所にございますから、そこに水を上げなくてはいけないということで、空港の水は全て大井川の水によっているわけですね。そして農業用水、これようやく、一昨年でしたか農水省が大変なお金をかけて整備をしています。こうしたものは、水が手に入るってことを前提にしてやっているわけでございますから、大変に大きな問題だと思っております。一方、洪水の問題もありますから、また山が崩れると、これはまたの土砂崩れだとかっていうこともございまして、治山と治水は一体で、その治山の対象になっている南アルプスは、世界のエコパークに平成26年に認定されているわけですね。これについて、論じないのはおかしいと。今、隣県他関係自治体も大変関心持ってるし、国も関心を持たれてるということでございますから、ぜひこれについての態度を明確にしていただきたいというふうに私は思っております。態度を明確にするべきであるというふうに思っております。これが1点目に対する質問の答えであります。

次期知事選

 それから、そうです。平成21年の7月5日に選挙が行われまして、その日の夜半に、大変申し訳ないことだったんですけれども、コンテンダーよりも私の票が多くて、知事に就任したわけであります。そのときから申し上げてますけれども、預かってるのは1期4年だということでございます。1期目のときに2期目のことを考えたことはありません。2期目のときに3期目のことは考えたことはありません。今も同じで、3期目半分来ましたけれども、その1期4年、残り2年ですね、今年はラグビーワールドカップもありますし、来年はオリ・パラもございます。レガシーは残さなくてはいけないということもございまして、こうしたことに全力を投入すると。チーム川勝といいますか、県庁オール静岡でやってきたいということ以上でも以下でもありません。

リニア中央新幹線

 それから林道ですね、これは本当によかったと思ってるんですが、興奮しないように書いてきましたので、林道東俣線の改良工事について、これ27キロあるんですね。JR東海と静岡市の間で協定が締結されたことを大変喜ばしく思っています。去る6月13日に現場を訪れました。このうちの何人の方とも同行していただいたわけですけれども、林道東俣線全線27キロメートル、二軒小屋まで27キロでございますけれども、大変なでこぼこ道で、私たちの乗った公用車も1台がパンクしまして、そうしたことだったわけですよ。大変驚きましたね。ですから、その点はもうすぐに気が付きましたので、同行していただきました、しかもずっとこれまでJR東海でリニアに関わってこられたという宇野副社長が、大変人柄のいい方で、同行していただいたのはありがたかったです。ですから、感想もそのまま申し上げることができまして、現状認識も共有することができたと。このでこぼこ道、これすぐ直すべきだというふうに申し上げて、それをお聞き届けいただいたというのは大変ありがたいことだと思っております。協定締結という形で、明確に約束守っていただいたということを、その場で申し上げ「分かりました」と言っていただいたあの副社長さんに、宇野さんに深く感謝を申し上げたいということでございます。実際の着工は9月以降ということですけれども、本来は、私は真っ先に着手されてしかるべき工事であると思っていました。一刻も早く工事が完了することを期待しております。

 それから、この基本協定に関わる質問ですけれども、大井川中下流域の水資源の利用の保全に関する基本協定につきましては、これは基本協定をすることが前提でありますけれども、工事をするには、将来にわたり安全安心を確保するため、利水者や地域住民がこの明文化したものを望まれているということでございます。仮にこの水道が手に入らないとなったらどうなるでしょう。62万人、静岡県のGDPはどのくらいですか。GDPってどのくらいでしたっけ。16兆円。60万人というと、6分の1ぐらいですか。ですから16兆円の6分の1は、2兆円、3兆円に近いですね。年間の所得が失われるってことです。だから将来にわたり安全安心を確保するために、こうした今は水道だけ申し上げましたけれども、さまざまな産業、水が必要です。そうした利水者や地域の住民が明文化したものを望まれているというのは、そうしたいわばこの安全安心というものが、この協定によってうたわれなければならないというふうに思います。水資源の基本協定は、本体工事の前に結ばれねばならないというふうに思っております。また、この林道でございますけれども、林道のこれは作業道なんですね。仮に、例えば私どもは千石から西俣まで行きました。皆さま方マスコミの方は、そこから先行けなかったんですけど、どうしてでしょうか。車が入れないからです。それほどのでこぼこ道です。しかも千石から西俣まで直線で4キロ、これに作業用のトンネル掘りたいと。千石にヤードがございまして、そこのヤードに、このするための工事を許してくれと。そうしたら4キロ掘るというわけです、先ですね。仮にそこでトンネルの崩落だとか何かで事故があったらどうします。そうしますと、救急車は入れますか、あのでこぼこ道。あるいはヘリコプターで助けに行けますか、あの峻険な山の中を。ですから作業員の方々の安全を確保するっていうことは、いわばいろは、アルファアンドオメガだというに思っておりますが、それがその林道ということで、まず整備されねばならないと。しかし、例えば畑薙の所まで行くのにどういう道を通っていくんでしょうか。三ツ峰落合線、もしくは閑蔵線です。三ツ峰落合線は、そこに行くための作業ということで、もともとJR東海さんはそこを整備したいとおっしゃってました。実際、今回行かれた方はお気付きのように、でこぼこ道です。しかも地面が波打ってます、どうしてでしょう。それは、道路の下の土地が滑り落ちてるからですね。それからまた、ガードレールが傾いてます。これぶつかったからではなくて、下の地面が、土が滑り落ちているからですね。そういうことで傾いているわけです。ですから非常に危ないと、そんなところに救急車で駆け付けられますか。あるいは救急車で助け出せますかということから、あの道はどうしても必要だったわけです、トンネルは。だから作業員の安全を確保するという、われわれは危機管理、そこにはいわゆる静岡県民の作業員もいらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、その方たちの安全を確保するというのは、一番最初にやらなくちゃいけないことでないかと思っております。

 この三ツ峰落合線、仮にあそこでトンネルができても、また相当土木工事ありますよ。どのぐらい残っているんですか。かなりありますよね。長いですからね。それで取り付け道路を造らないといけないと。取り付け道路は、私はトンネルと一体だと思いますので、なるべく早く、取り付け道路を造らない限り作業現場に行けないと、いざというときにその道は使えないってことです。もう一つ、閑蔵線がありますが、閑蔵線は山に入る直前のところまで2車線になってるわけですね。そしてトンネルは、2キロちょっとですね。そのままそれ抜ければ井川に入るわけです。ですから私は、三ツ峰落合線になったのは、ともかくこれ約束を守っていただかなくてはなりません。約束をした当事者両方がやらなくてはいけないと。ですから、静岡市は可及的速やかに取り付け道路を造らないと、トンネルそもそもが造ってもらえないということがございます。一方、閑蔵線の方は途中まで2車線でずっと行ける、かなり良好な道路事情がございます。ですから、そこから井川に行けると、早い方を先に取り付けるべきではないかというふうに思っている次第であります。ですから、林道東俣線ならびに県道三ツ峰落合線、ならびにこの閑蔵線というのは、これは作業員の安全安心に寄与するものであります。結果的にはもちろん地域の振興につながりますけれども、まずはこれらの工事はJR東海にとって、もともと必要なものでありますから、やって当然の内容であるというふうに思っておりまして、JR東海さんには南アルプスの保全のために、まずは作業員の安全を確保するために今何をすべきかを考えいただいてくださいということを申し上げたく存じます。以上であります。




幹事社質問:リニア中央新幹線

(幹事社)

 ありがとうございました。リニアについて1点伺います。幹事社質問を前回提出した以降にもいろいろ動きがありました。愛知県に難波副知事がご説明に伺って、昨日なんか愛知県知事がまた会見でそれについて言及されてたようですけども、なかなか静岡県の立場に理解を示すような発言ではなかったかなと思っております。そんな中で、今度22日からの全国知事会議なんかございますけども、そういった場で静岡県のお立場を、そういった場の中で発言されたりするお考えはおわりかどうか、ちょっと伺いたいと思います。

(知事)

 全国知事会というのは、アジェンダがもともと決まっていまして、ですから自由な発言というのはなかなか難しいんですね。ですから、それぞれ忙しい知事が来られますので、用意された案件を順番に処理していくということが、基本的な全国知事会の内容です。しかしながら、そこに関係の知事さんが来られていますのでね、朝食とか、昼食とか、懇親会の席でお目にかかることができるでしょう。そういう折には、積極的にその時間を費やしたいと思ってます。

 それから、愛知県知事さんが「読んでない」とおっしゃったのは誠に残念でした。難波副知事が大変丁寧に説明して、相手も分かってくださったという、そういうように私に報告を受けておりましたので、ただ相手の副知事さんがまだ就任されたばかりだということで、どの程度知事さんと副知事さんとの間で、この件について問題意識を共有されることができたのかちょっと疑問ですが、ともかく中身は見てないけれどもというような話だったので、ぜひそれはお読みいただければと、もともと科学的にやれとおっしゃったので、科学的にやってるということを丁寧にご説明を申し上げたということでございます。それからまた、7月中に、この愛知県を含む9都県、これがいわゆる関係者という自治体だと思いますが、そこにはですね、説明に入りたいと思っております。これは難波副知事もしくは、くらし・環境部のトップクラスが一緒に入りまして、ご説明に上がるというふうにしたいと思っております。

(幹事社)

 ありがとうございます。この他、発表項目に関してご質問ある方お願いします。

(記者)

 今のリニアの関係で伺いたいのですけれども、大村知事は国交省が間に入ってくださいというような趣旨のことをおっしゃってると思いますが、これまでの間に国土交通省の方から知事と話をしたいであるとか、リニアの件で情報共有をしたいであるとか、そういう打診はありましたでしょうか。

(知事)

 ありません。国交省も道路局、河川局、鉄道局等がございますよね、都市局もあるかな。ですから直接に関与されているのは鉄道局かと思います。鉄道局はもちろん推進するお立場だと思いますけれども、河川局はどうでしょうか。それから環境省も関わっておられると思います。何しろ大井川ですからね。それからエコパークですからね。エコパークは環境省でしょうか、文化庁でしょうか。だから国としてもそう簡単に調整できるかなという感じがします。それから農水省については大村さんもメンションされてましたけれども、農業用水を19年、20年かけて600億円以上払ってですね、造ったわけですね。造ってもらった利水者の方たちが心配されてるわけです。ですから、あのかんがい施設ができたからこれでいいだろうという問題ではなくて、そもそも水がなければ駄目ですから、でも流量が極めて限られてるというのは当時行った、6月13日に行かれた方が、あの畑薙の所でみなさん車を降りて確認されたとおり、1秒当たり2トンぐらいの量しかないということですね。しかもそこは、膨大な土砂で覆われていました。目分量で言うと畑薙ダムあたりは、畑薙の橋のあたりは七割八割が覆われていると。ただダムの近くは水がたまってました。ですから中部電力の話によれば4割ぐらいが埋まってるとおっしゃってましたけれども。学者の中にも、まもなく雨畑化するって言ってました。つまり雨畑ダムの方はニッケイ金属の手に負えるような状況ではありません。そして、山梨県だけでできるかといってもなかなか難しいと思いますね。あれほどの膨大な土砂ですから。同じことが中部電力はできますかと私は尋ねたんです。あの土砂はもう自分たちの力では手に負えないと。特種東海製紙の方に聞けば、これもとんでもない、絶対できないと、自分たちでもできないと。ではどうするんですかと。口をつむぐ以外ないわけですね。ですから中部地方整備局の方が来られて、私はぜひお願いしたいと言ったら、あそこは中部電力の管轄ですとおっしゃった。自分たちが管轄しているのは長島ダムだと。若干下流ですね。そうおっしゃったのですね。よくよく調べてみると設置主体は国交省なんですね。ですから雨畑ダムにつきましても、この畑薙ダムにつきましても、まさにその畑薙ダムのその畑薙橋のちょっと上流、もう目と鼻の先の所に赤崩れというのがあって、上から崩れてきてますね。これはもう人間の力では止めることができないと。大沢崩れと一緒です。そういうふうな土砂崩れが、いわばそういうものの自然の力でどんどんと土砂が崩れてくると。その下にダムがあるわけですから。あれはやっぱりそういう意味でも、国交省に出て来ていただかざるを得ないというふうに思っているんですよ。だからそれは河川にも関わってくるでしょ。だから鉄道局だけで、事が処理できるような筋のものではないという風に思ってます。いずれにしましても、国交省ほか国の関係、省庁が力を合わせてこの問題をどう解決するかということに私は期待したいと思っております。




幹事社質問:リニア中央新幹線

(記者)

 先ほど参院選の争点のとこでリニアに言及されましたけども、そこで静岡選挙区の議員は関心持ってなくてはいけない、態度を表明しなくてはいけないとおっしゃいました。それは、論戦を経てのその県民への周知理解を期待されているのか、あるいはその後の知事のご主張に双方との提携連携を期待されているのか、あるいは両方なのかっていうのを、お考えをお聞かせください。

(知事)

 個人的にこの5人の方々の意見を聞きたいというのがあります。何しろ静岡県、今記者さんとも話したとおり、あるいはご指摘のあったとおり、お隣の愛知県や、場合によっては三重県とか、そうしたところからいろんな意見が寄せられてるわけですね。ですから、これはただこの地域の小さな問題というよりも、他県にも関わる問題であります。言い換えると、言ってみれば国の大きな、JR東海の金子社長によれば国策と言われてるわけですね。それに関わる問題ではありませんか。私自身も国土審議会の委員として、いわゆるこのスーパーメガリュージョンというものを通して日本の新しい活力を上げていこうという、そういう構想に賛同してこれまでいろいろ発言もし、また動いてきたわけであります。そうした中で、この南アルプスの保全をどうするかという問題が浮上してるわけでね。しかもこれは、2、3年で本格的に浮上し、JR東海さんも最初は無視されていたわけですが、ようやく重い腰を上げられてテーブルに着かれたと。そして今、中間意見書を求めてるという段階です。これJR東海にやってることですから、これはもうJR東海というのはうちがお世話になっている、しかもこれ東京から大阪に至る、それを管轄されてるところで、国政に関わる一番この基軸の幹線でございますから、そうしたこととの関わりが問われているときに、そのことについて発言しないというのは、臆病ではないかと思います。それが私の意見です。

(記者)

 大きく二つなんですけれども、先ほど林道東俣線について大変ありがたいと思っているというお話で、13日の日に、上野副社長に要望されていたというお話をされていたと思うんですが、そのときの宇野副社長に知事がお願いをしたことが、今回の協定に寄与したと思われるかどうかっていうのが一つと。あとは地域振興の話いろいろ出ていると思うんですが、この間JRの金子社長は、今は取りあえず鉄道を造ることに力を傾注したいんだというお話をされていました。今後、JR側とどういったお話を進めて、どういった着地点をお考えかっていうのをお聞かせいただければと思います。

(知事)

 まず宇野副社長は、椹島でゆっくりお話しする機会があったんですね。そして、一番最初に申し上げたのがこの件でした。椹島における宇野副社長さんのご説明は、宿舎のことだったわけです。その宿舎を、間もなくここに完成すると、もう一つの宿舎が向こうにあると。しかし、私はこの宿舎に人が来られるその道ができてないじゃありませんかと。ここを観光施設に変えたい。しかし、この観光施設に来るための道ができてないんじゃないか。いや、いろいろと道に堆積している土砂などは、除去してあそこに積み上げてあるとおっしゃって、出されたんですよ。あれやって一体どう変わったんですかと、だからもうはじめから最後まで道の話です、私は。しかも、一番最初、宇野副社長はああいう道路のままでいいというかのごとき最初は対応でした。しかし、お話ししてるうちに、やっぱりこの林道の件につきましてはお気付きになったと思います。しかも皆さま方が行かれなかった、この二軒小屋から西俣、あれはもう道路が非常に悪いと、道路が非常に悪いとそういう話なんですよ。だからトンネルが掘りたいと。だから千石にヤードを設けたいと。そしてここまで直線で4キロだと。これをまず最初に造って、西俣からその本トンネルまで目と鼻の先です。そこに作業員を送りたいとおっしゃる。どうしてかと。道路が悪いからだと。道路が悪いっていうことは、ずっと畑薙から同じじゃないですかって、さらに言えば、その三ツ峰落合線も同じですね。全然できてないではありませんかと、そうしたら、三ツ峰落合線については静岡市と協定があると。進んでおりませんねと。いや、自分はトンネルを造ると。取り付け道路は静岡市が造ると。取り付け道路に、これは三ツ峰線の横に造らないといけないから、それ生活道路ですからね、そこを生かしたまま造らないといけないでしょう。場所決まってるんですかと、間もなく決まるらしいというふうな感じで、もう1年前にもう協定結ばれているにもかかわらず、これは本来取り付け道路とトンネルは一体のもんじゃないですかね。そう思ったんですが、もうこれ協定だからしょうがないと、はじめからその作業道路としてそれを考えてたということがそこで分かりました。

 あらためて作業道路に関わるこれまで記録を見れば、実は落合線ではなくて、三ツ峰ではなくて、その閑蔵線が距離も短い、工期も短くなる。そしていわば予算も少なくて済むということだったということだったということで、そういうところでもはじめから考えておられたならば、その作業員の安全のためにそこを先にやったらどうかということでございます。だから私は、あの道路の件について、宇野さんとお話することによって認識新たになり、差し当たって工事の作業員がそこにいらっしゃるわけですから、この東俣線ですね、いわゆる林道ですね、これについてはまずやらないといかんと思えたんじゃないでしょうかね。

 それに関連して言いますと、あそこは特種東海製紙さんにとって、とても大事な道です。なぜかというと、お客様をちゃんとコントロールしてその椹島なりあるいは二軒小屋までご案内されるわけですよね。ですから、非常に危険な道なので、彼らにとってはそこを整理して、今回いただければ一番いいことで、かなり前にJR東海さんは、特種東海製紙さんに話を持ちかけられたみたいです。そのとき担当された鈴木さんというのが、実は帰り1台パンクしちゃったもんですから、ご一緒した方なんですよ。社長秘書室長の方ですね。その方がおっしゃってました。口約束だからやってくれるかどうか分からん、仮にやってくれたとしても作業道路みたいになって観光に使えないんじゃないかと、そうするとこれは林道なので、これは静岡市の管理になると。静岡市がこれをきちんと管理する、つまりメンテナンスをするというようにするために、市道に格上げしていただけないかとすら私は思っているという、そういう本音を打ち明けられたんですよ。私はもちろん、将来この観光に使うことも大事だけど、差し当たってそこに作業に働いてる人たちがいらっしゃるのだから、この人たちのために、あなたの土地で働いてらっしゃるので、もし事故があったら誰の責任になるんだと、救急車が入れないので、間に合わなくて結果的に惨事が大きくなったということになりかねないでしょうということで、われわれは危機管理は最優先ですから。この点は、やっぱりあのときの宇野さんとの会話というのが大きかったと思いますよ。さもなければ、今回のようなものは、あのときの鈴木さんの話によれば、いつ口約束から文書の約束になるのか。見通しもつかないようなお話でしたから、それはよくないと思ってました。

 それから金子社長ですか、地域貢献ね。まずは今それなりの工事をされてるわけですからね、その工事に入ってる方たちの安全を確保することをなさっていただきたいということを申し上げたいですね。つまり、記者さんも行かれましたか、椹島の宿舎ご覧になった。かなり大きいものですよ。3階建てでしたか、2階建てだったかな、ともかくかなりの人がそこで寝泊まりできる。しかも、もう一つちょっと小さめの宿舎といいますかございましたでしょう。それだけの人がそこで行き帰りしてるわけですね。それ安全をどうして最初にしないのか、千石から西俣を先にするなんて本末転倒だというふうに私は思っておりまして、そういう意味では、やってないことがたくさんありますよと。地域貢献どころか、まず自分たちの作業員の安全確保をしないと、救急車が入らないってことがもし大きくなったら、JR東海の面子に関わるじゃありませんかということを申し上げたく、今は思います。




幹事社質問:リニア中央新幹線

(記者)

 今のリニアに関連してあの2点あるんですけれども。先ほど知事おっしゃったように、難波副知事が愛知県にこの件について説明に行かれたということで、愛知県の知事は昨日の会見で報告を受けているけれども中身は聞いていないということで残念だというお言葉でしたけど、さらにそれについて、その中身を聞いていないけれどもこれまでと同じだろうとある種決めつけたような発言をされている。つまりあの中身を聞いたところで別に変わりないんじゃないのと、水問題については別に JR側も解決すると言ってるし、別に中身を聞かなくてもこれまでと同じだろうというような、決めつけたような発言をされているんですが、これについてどんなふうに思われるかというのが1点。あともう一点が、先ほど来、この市道ですとかその林道のその整備についてなんですけれども、あの三ツ峰落合線それとこの林道の東俣線に加えて市道閑蔵線も整備をすると、この工事としても早い方を優先させるべきだとおっしゃってましたけれども、これはあくまでもその作業員の安心安全のためということで、この市道閑蔵線もやるべきだということなのか、それとも地域振興策の一環として、この林道や三ツ峰落合線に加えて市道閑蔵線も三つ目としてやるべきなのか、そこはどのようにお考えなのかお聞かせいただきたいです。

(知事)

 あの最初のご質問、大村知事さん報告を受けたけど読んでないとおっしゃった、それは残念ですね。結局伝言ゲームになりますね。難波副知事が説明したのは副知事のお一人で、その副知事さんがご説明に入られたと。その説明は聞いたと、だけど読んでないと、あるいは資料もご覧になってないと。もともと何で申し上げにいったかというと、科学的なエビデンスに基づいてやってくれとおっしゃっていたので、それはもう科学的に行っていますよと。その中身を、難波君は説明の名人ですよ、私から言わせると。ですから本当に直接を聞いていただければよかったと思いますけども、なぜこれが問題なのかと、中身が同じじゃないかと、つまりエビデンスがないのと同じじゃないかと、ただただ難癖つけているんじゃないかというようなこととは違いますということでぜひ、もうお立場は分かってます、大村さんがこのリニアにかける思いですね。それから、彼が代表している名古屋の経済界とか愛知県の経済界また関係者の方々の想いを代弁されているということはよく分かっておりますけれども、それは他人を踏みつけて自分たちがいいと、そういうようなことは、この素晴らしい人々を輩出している愛知県の人たちがよしとするところではないというふうに思いますね。

 ですから、愛知県にお生まれになって、しかも三河で。彼も三河でしょう。三河出身の方が静岡県で、こちら水の豊かなこの駿河で、徳川家康は立派な指導者になられたわけですね。安倍川の水を付け替えると、これ薩摩に命じてなさったわけです、水です。それから泉頭、ここに最後の別荘を建てられようとされた。あそこも、清水の豊かな美しい富士山の湧水というものを活用した別荘づくりと、これは果たされなかったですけども。そういう、水というのは彼にとって極めて重要で、大井川は非常に大きな大河なので、ここに橋を設けないで、これ渡しにしたわけですね。ですからこの水の問題は、恐らく徳川家康公の最も重要な関心事だったと思う。そしていわばbarrenていいますか、不毛の地と見えた関東平野に秀吉が追いやったわけでしょ。しかしそこに幕府を開いて、そしてあの利根川が東京湾に入ってきたやつを、彼は自分の人生さらに秀忠、家光かけて付け替えたわけですね。つまり水があるから、これ洪水の水かもしれないけど、上手にすると水の都の江戸ができるという、そういうお考え持っていた。それはよくお考えいただいて、その水の問題が今静岡県で、もともと牧之原という徳川家康公の末裔(まつえい)、徳川家康公の家臣の末裔(まつえい)が一緒につくったそこの水が、水枯れるというその可能性が今のJR東海さんのご説明では、とても納得できるものでないってことになっているので、三河武士の成れの果てなら、そのあたりところが、あの粋に感じるということがないと大村さんらしくないと思いますね。それからの二つ目のご質問ですけれども、まずは静岡県民の恐らく作業員もいると思います。外からも来てると存じますけれども、その方たちの安全はちゃんと確保していただきたい。そしてJR東海さんが地元に入ってご説明されたときに、閑蔵線と三ツ峰落合線で閑蔵線の方を優位にされた。なぜかというと、それが早いしお金もかからないし、いわゆる南アルプスに直接入るのに入りやすいからですね。早くできるわけですよ、だからいろんな事情で三ツ峰落合線の方になったと。それは恐らく閑蔵線に関わることを決まると思っておられた方にとっては、大きなショックだったと思いますね。しかしながらなぜそれショックになったかというと、そちらのが誰が見ても早く安全に入れるからだと。だったらば、まずはあの工事の安全を、われわれ最も重大な関心事です今は。ですからその閑蔵線を、早くできるのはそちらの方どうですかということを申し上げたいと、でないとあの静岡市とJR東海が一緒になってやっても、またくねくね道を相当行かなくちゃいけないし、それで本当にいいのかという心配もございます。ですから私どもは安全管理の観点から、作業道として閑蔵線は掘るべきだとこういうふうに申し上げているわけです。

(記者)

 ではそうすると、これまでおっしゃられたその地域振興策としての一つではなくて、あくまでも安全安心上の観点からこの閑蔵線の整備が必要であって、地域振興策というのはまた別にお願いをしたいということなんでしょうか。

(知事)

 これはね、何で地域振興という言葉が出てきたかというとそれは経緯があります。それは、JR東海さんの民間の事業をやってることだというふうにここで申し上げた。そしたらこの金子社長が、これは国策であって全国新幹線鉄道整備法、全幹法に基づいてやってますとおっしゃったわけですね。じゃ全幹法に何が書かれてますかということですね。私が申し上げたのが、全幹法の第1条に地域振興を目的にすると書かれてるじゃありませんかと、国策というんじゃなくて、その国策の法律の第1条にそう書かれてるじゃありませんかと。地域振興になさっておられますかと、地域にダメージを与えられてるだけじゃありませんかと。そもそも南アルプスにその傷をつけること自体がそれです。さらに、そのことによって波及効果と悪効果ですね。悪い影響がこの水資源、景観、生態系、水量水質に及ぶということでどこにもないと、だから全幹法を盾にとって言うならば、第1条をもう一度読み直してくださいと。

 それから、国策でこれは何が何でもやるというふうな戦前の軍事政策と違って、全幹法を良くお読みになるとこれは営業主体に委ねると。営業主体の計画これの変更も可能、営業主体の計画の中止も可能と書かれてるわけですね。ですから何が何でもやるとかというふうなことではないんですね。ですから、その盾に取ったことについてちゃんと読んで反省してから言ってほしいということで申し上げました。地域振興が出てきた脈絡はそういう脈絡です。




幹事社質問:リニア中央新幹線

(記者)

 他県の知事の話が出ていますけど、今日の山梨県知事の午前中の記者会見で、長崎知事が、静岡県の川勝知事は県民の安全や安心に対して重大な関心を持って必要なことを主張されるということは当然の立場だという発言をされて、理解を示されたという形だと思うんですけれども、それに対しての川勝知事の見解といいますか、受け止めをお願いいたします。

(知事)

 われわれ、駿河の国、遠州の国、それから伊豆と全体で「ふじのくに」と名乗ってるわけですね。山梨県さんも国民文化祭のときに「富士の国やまなし」ということで、そういう冠を付けられたわけです。ですから、われわれは空港も港もありますから、言ってみれば 海の玄関口、空の玄関口がありますのでふじのくにの表玄関だと、山梨県はですね、富士山、南アルプス、八ヶ岳あるいは秩父連峰と駒ヶ岳と美しい中庭ですから奥座敷だと、一番最初に彼とお目にかかった、何と言いますか、新清水から富沢まで中部横断自動車道が開通したときの、ふじのくにの奥座敷を守る者としてとおっしゃったんですよ。私は感動しました。一体感というのをお持ちだと。

 山梨の長崎知事は前からですねメディカル・デバイス・コリドー構想というのを持ってられたんですよ。これは山梨から静岡に至るこれをいわば健康医療圏としてコリドー、回廊ですね、としたいと。それについてはもう山口建、高校の先輩とも話が通じてると。山口建総長からのですね、ファルマバレーセンターのがんセンターのトップですけれども、手紙が来たぐらいです。この構想は自分は推進すると、で中部横断自動車道ができましたね。こういう感じで、私どもは一体で、特に早川の問題につきまして、早川の濁りが結果的に富士川の濁りに、そしてまたそれが駿河湾の不漁にも関係してるんじゃないかということについて、今日中平君が来てると思いますけれども、あそこにいらっしゃる。実は山梨県に入ることを非常にはばかられていたんですよ。ところがそれを一発で覆してくれたのは長崎知事です。一緒にやらなくてはいけない、上流と下流は一体でしょうと。本当にあの正常というか立派というか良識のある知事さんだということで、恐らく甲府と大月の間で実験線が行われてましたからね。ですからこの重要性は最も知っておられる方だと思います。国政にも参加されたですから、その方ですね、この県民の安全について大事だってことは彼がそういうふうな姿勢で山梨県政を動かしてらっしゃるんだというふうに思います。実際4年ほど前ですか、あそこは陸の孤島になりました。それであのまだ地下鉄、すなわち空飛ぶ新幹線、地下鉄ができてなかったので、われわれヘリコプターで助けに行きました。これは前の知事さんのときでしたけれども、そういうあの危機管理がちゃんとできてないと、あんな近代で東京にすぐ近いところでも、陸の孤島として三日三晩陸路が完全に遮断されるという事態があったわけですね。そうしたご経験も踏まえながら、この県民の安全安心について川勝が考えているのはもっともなことだというそういう背景があると思いますが、それより私は何て言いますかね、ご理解いただいていることに対して心から感謝したいと思います。

(記者)

 すみません、そういった問題意識を共有されてる山梨に限らず、他県の知事と何かこう連携していくというようなお考えていうのはあるんでしょうか。

(知事)

 これはまずは理解してもらうということが大事で、今中間報告書を差し当たって9県の知事さんのところに持っていくということと、あれ全員いわゆる圧力団体というか、この期成同盟会ですね、そこの団体に送りました。ですからまずは理解していただこうと。その理解が広まっていくということが大事で、味方してくれ味方してくれとそんなばかなことを言っても、エビデンスに基づかないと味方しようもないでしょ。ですからまず知っていただくということが大事で、説明を求められればいつでもこちらから出向いてご説明申し上げるということであります。




幹事社質問:リニア中央新幹線

(記者)

 知事、これまでの会見ですとか現地視察の際にですね、JR側に対して中間駅、他県に造られる中間点の建設の平均額が必要だというような発言をされたり、地域振興を示すことが必要だというような発言されました。一方では、本日の一部報道のインタビューでも出てますが、金銭的な見返りは求めていないですとか、先ほどの地域振興の脈絡についても、あの全幹法に基づいたものだって発言をされて、知事の発言の意図が分からないことが県外の方からの疑惑を呼んでるのかなという印象を受けます。県議会でも、知事の発言が交渉にプラスに働いていないという批判も先ほどの県議会でも出ました。そうすると知事が着工に向けてJRに求めているということが、水問題が最優先であるいうことは分かるんですが、それ以外に何か着工の条件として求めているのかどうか、これまでの発言の趣旨はどうなのかということを説明いただきたいんですが。

(知事)

 ジャーナリストですから、深堀りをしていただければと思いますけれども。なぜ金銭の問題が出てきたのかと、これも先ほどの地域振興と同じです。すなわちわれわれは専門部会を持っております。これは地質、水質の問題、それからもう一つ生態系ですね、この保全の。そこでJR東海さんが、自然保全のため自然環境保全のための基金を積みたいとおっしゃったという報告を受けました。そして、それについてどのぐらいの基金ですかというふうに私聞きましたところ、担当者の方からまた向こうと打ち合わせされて、100万円、200万円、300万円と。そうですか、どうしてそんな額になるんですかと。そうすると、生態系の調査だとかいうのに調査費としてそのぐらいあれば十分だろうと、それをこう積み上げていけばいいという考えだというお話だったんですよ。そこから金銭の問題が出たのです。ですからいきなり出したのではなくて、そういうあの100万円、200万円の基金を積むというのは、本当にこの南アルプスという存在を何と考えてらっしゃるのかと。その場合、他の県に対してあなた方は何をしてるか分かってますかということですね。そういう脈絡で出てきたのです。

 ですから、調べればすぐ分かりますが、そういう脈絡で全て相手があって、こちらが向こうに行くからメッセージ送られてきてるので、こちらからメッセージをお返ししてるという脈絡であります。

(記者)

 それはつまり、その基金を積むことなどが着工の条件というふうに捉えられているんですか。

(知事)

 とんでもありません。基金を積むというのは立派な考えだというふうに思いましたけど、基金になりますかと。そもそもその生態系の保全だけでなくて、その生態系が乱れた場合には、それはそれに水の問題でありますから、従って水道の問題でもあり、農業用水の問題でもあり発電の問題でもあるということですね。そこに息をしてる人が62万人もいると、そうしたことに対してこれだけの調査費で済むというふうな、そういう考え方が浅ましいということを批判するために申し上げたんです。